絵本『ちいさないっぽ』を出版しました

絵本『ちいさないっぽ』は争いの意味について問いかける物語です。大切な人を亡くした方に寄り添いたい思いも込められています。絵と文は試行錯誤をなん度も繰り返しました。学業と介護のかたわら年月をかけこつこつ温めてきた切り貼り絵の絵本です。

 

出版社/みらいパブリッシング https://miraipub.jp/books/30617/

「この争いはいつまで続くのか、人間はいつから争ってきたのか」世界で今も繰り返されている紛争をテレビ越しで見るたび疑問を感じていました。対象年齢は4歳からですがシビヤな部分があるので言葉選びは慎重にしました。特に苦労したのは最終場面です。希望を持って着地をしたかったのですが、どの言葉を選ぶか締め切り直前まで悩みました。編集者さんが自分の考えを尊重してくれましたので自由にのびのびと制作できました。みなさんのおかげで自分らしい作品をつくることができました。画材はおもに切り貼り絵ですがあえて汚れを出した箇所もあります。背景はアクリル絵の具を使っている場面もあります。



【出版するまでの経緯】

きっかけは公募ガイドの「絵本出版賞」の記事を読んで「よし!やってみよう」とスイッチが入りました。その後、一次審査の通過をきっかけに出版のお話をいただきましたが、当時すでに完成していた未発表の作品『ちいさないっぽ』に賛同いただくことができ編集者さんと最初から見直しました。世界で紛争が続いている今だから出版したいという強い思いがありました。絵は大きな変更はありませんが、ヤヤの表情を新たに取り入れたり、ばあちゃんの顔を差し変えたことで物語がもっと深くなったようです。文は変更の無いページもありますが繊細な言葉を使ったページは時間を要しました。

制作過程

【表見返し】

絵本の見返しの表と裏はワンカラーですが原画は多くの色をつかっています

表の見返しはヤヤが暮らしている村です

朝明けのイメージ

ワンカラーで完成


【切り貼り絵が完成するまで】

文が完成したら鉛筆でラフがき

下描きの完成

パーツを並べる

イメージをつくる

完成


【グレ登場の場面】

筆を使って背景づくり

ローラーを使いイメージに近づける


カッターを使ってグレを配置

完成


【ばあちゃんの斧】

クレヨンと水彩でイメージづくり

自然な風合いを見つけ切り取る

完成


【かあさんの服】

使いやすい小さなハサミでカット

かあさんのイメージは翡翠色

完成


【ばあちゃんの顔を変更】

当初、ばあちゃんが若すぎたので顔をガラッと変えました。歳は重ねても逞しく優しいおばあちゃん像をイメージしました。洋服はそのままで顔だけ差し替えましたが不思議と全体のバランスが整い挑戦が成功したと思います。切り貼り絵は差し替えができるのも強みであり面白いところです

トレーシングペーパーを使います

顔の差し替えに成功


【草むら】

草や石、水などの自然のベースをつくるときは計算しないで筆を動かすことを心がけます。

偶然が思いがけない色を生み出してくれます

いくつもの緑の絵の具を重ねます

完成


【炎】

アクリル絵の具をチューブごと出しローラーを使います

どうなるのかわくわくする時間です。

黄色の画用紙を使ってベースづくり

完成


ラベルシールを使用した作品「ちぢんでのびて」と、絵本「ツノくん」はこちらからご覧いただけます。

そのほかの「切り貼り絵」はこちらからご覧いただけます。

(出版社 みらいパブリッシング)